長崎県の猫島「高島」の猫たちのTNRM活動

高島は長崎にある人口300人ほどの小さな離島です。海の景色と自然が豊かで、高台からは有名な「軍艦島」を望むことができます。

レンタサイクルを借りて島の中を走っていると、気にしていなくても猫を見かけます。正確な数はわかりませんが、島民に近い数の猫がいるのではないかと思われます。餌場を中心にいくつかのコロニーが形成されているようです。

高島のTNRM活動

今回はTwitterで毎日、猫の情報を発信されている「ひまにゃん」さんにお会いしてお話を伺いました。

「ひまにゃん」さん達は毎日2時間近くかけて猫たちにフードや水をあげています。猫たちが雨風を防ぐことが出来る小屋の設置、そして糞の掃除などを行っています。フードをあげたお皿は食べ終わったあと回収し洗うなど、衛生管理をしっかりされています。実際、小屋の中はきれいで、これだけの猫がいるのにもかかわらず異臭はほとんどありませんでした。

▲台風からも猫たちを守る手作りの家

 


▲「ちゅーる」をあげると積極的な子が集まります。


真夏も真冬も毎日、休みなく続く活動なので本当に頭が下がる思いです。

何年も前から野良猫たちの避妊去勢・TNR(トラップ・ニューター・リターン)活動を行っており、TNRをした後のM(マネージメント)を継続しています。

2013年には一斉に200匹近く、現在は月に3匹づつなどのTNRを行っていますが、なかなか追いついていないのも現実です。一斉に行っても、島に点在しているTNR出来なかった猫が新たに子猫を産み、その猫が餌を求めて流れてきたりするためです。人間に慣れていない子もいるので、TNRでどうしても捕まらなかったり、飼い猫を繁殖しては外に放つ困った住民もいるそうです。

TNRMとは?

Trap トラップ(捕獲する)

Newter ニューター(避妊去勢の手術をする、印として片耳をV字カットする)

Return リターン(元の場所に戻す)

Management マネージメント(管理する)

 

これらを略してTNRM活動と言います。小さな離島には動物病院がないため、捕獲したあとはフェリーで本土まで運び手術することになります。そしてまたフェリーで島の元いた場所に戻します。

 

Management(マネージメント)の管理は、主に毎日の餌とお水の給餌天候から身を守る場所の小屋の設置ケガや病気の治療などがあります。健康であれば数年から20年近くは生きますので、その管理は毎日続くことになります。このような活動を「地域猫活動」と呼びます。

 

猫の繁殖能力は非常に高く、生後半年で妊娠、一度に4匹前後産みます。しかも複数回、妊娠が可能なので、1組の猫から数年で数百匹に増えます。

 

動物愛護条例」と課題

2022年7月に長崎市は「動物愛護条例」を施行。野良猫に餌を与えるルールや、多頭飼育の届出が義務化されました。これは地域で餌を与える場合は、

・猫の不妊手術を行う
・時間や場所を固定する
・排泄物のなどの掃除を行う
 というルールを定めたものです。

高島の場合、実際にルールを定めて給餌活動を行っているのにも関わらず、餌をあげること自体を「条例違反」とみなし、餌場に看板を設置されてしまったそうです。現在、高島じゅうの道沿いにこのような「餌やり禁止」の看板が建てられていますが、「条例違反」の言葉を恐れ、中には餌やりをやめてしまった個人の方もいるそうです。

無責任に餌をあげると、猫が増える・・・ということで禁止なのでしょうが、まず先にTNRMを促進していかないと、「餌やり禁止」だけでは解決しない問題です。

どうしても野良猫を排除したい、地域猫活動を認めたくないという方は、高島に限らずどの地域にも一定数いるようです。猫が嫌いな人に限って必要以上に執着しているように感じています。「猫」は飼い猫・野良猫に関わらず、愛護動物です。無責任な人間が原因で繁殖してしまった猫たちに何も罪はありません。

 

離島は本土と違い、範囲が決まっているので、もしも全頭TNRが実現したら、外から猫を持ち込まない限り不幸な野良猫は増えません。なんとか全頭TNRが実現すればいいのですが、それには多くの資金と島民の協力が必要となります。

猫たちの管理(マネージメント)にご支援を

「ひまにゃん」さんが所属する「高島ネコの会」さんは、昔から高島に暮らす住民が主要メンバーとなっており、自己資金を投入してTNRM活動を行っています。面倒をみている100匹以上の猫たちの餌代だけでも足りず、皆様からのフードや寄付などの支援も受け付けています。TNRはもちろん大変な作業なのですが、それ以上に猫たちの命を繋げていくマネージメント活動は何年も続きます。福岡の相島の記事でも書きましたが、100匹ですと月に約180kg程のフードが必要になります。支援されたい方は、ぜひTwitterから直接ご連絡してみてください。
*高島にはエリアごとに他にもご飯をあげている方がいらっしゃいます。

 

 

観光地の猫に会いに来る方へ

猫におやつをあげたいという方は、道に餌を放置しないゴミを捨てていかないことを徹底してください。道端にばら撒くと、食べなかった分に虫が湧き誰かが掃除をすることになります。住民に猫が嫌われると後々、猫達の命に関わるようなことになります。蓋つきのタッパーなどに入れて、残りはそのまま持ち帰りましょう。

最後に

長崎県の猫の殺処分数は全国で最も多いそうです。長崎県のPR「長崎の変」自体に猫キャラを使ったりと「猫の街」として打ち出しているので、ぜひとも、本物の猫に優しい県になって欲しいと願うばかりです。

 

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